(開催の趣旨)IGFは今年で20年の節目を迎え、継続するのか、継続する場合どのような形で継続するのかが議論されている。また、国連では昨年採択されたグローバルデジタルコンパクト(GDC)の実施に向けて、AIに関する専門家会議等、いろいろな組織が作られ、IGFがそれらにどう貢献できるかも議論されている。今年6月のオスロ会議(IGF 2025)では、それらの話題が中心的な議題のひとつとなる予定である。このセッションでは、こうしたIGFの在り方の議論に深く参加して来た次の3氏を迎え、それぞれの立場から意見交換した。

  • パネリスト:
    • Meni Anastasiadou (国際商業会議所(ICC)情報化社会支援ビジネスアクション(BASIS))【遠隔登壇】
    • Amrita Choudhury (CCAOI [インドの市民団体])【遠隔登壇】
    • 前村 昌紀(JPNIC)
  • モデレーター:
    • 加藤 幹之(一般財団法人国際経済連携推進センター(CFIEC)・国内IGF活動活発化チームチェア)

(主な論点)

  1. インターネットガバナンスフォーラム(IGF)の将来と継続性について – IGFを一時的なものではなく恒久的な組織として確立し、安定した資金を提供することを提案すべきとの意見でまとまった。
  2. マルチステークホルダーアプローチの重要性 – IGFは、民間企業、市民団体、技術コミュニティなど様々な立場の人々が参加する意義が大きく、国際的な政策議論のモデルになるとの指摘があった。
  3. グローバルデジタルコンパクト(GDC)とWSIS+20レビューの関係 – IGFのこれまでの枠組みを、GDCなどの国連の新しい取り組みに反映させ、重複を避けるべきとの意見であった。
  4. デジタル技術の包括的かつ公平な発展 – デジタルディバイドの解消や人権保護、AIなどの新しい技術への適応など、IGFを今後も多くの課題を引き続き検討していく場とするべきと指摘された。
  5. 日本からのIGF参加促進 – メーリングリストへの参加やオブザーバーとしての参加から始めることを提案。APNICへの日本からの参加が比較的多い例を見ても、言語の壁を乗り越え、参加を促進することは可能であるとの指摘があった。日本の課題をアジア太平洋地域のIGF(APRIGF)で議論し、グローバルIGFにつなげることも提案された。
  6. 言語の壁を超える工夫 – 日本語話者がより参加しやすくするための翻訳サポートや、英語での発信を支援する仕組みの構築も提案された。
  7. 民間企業の参加促進 – IGFの議論が実際の政策や規制に影響し、企業にとって意味ある活動であることを理解してもらい、参加を促進することが提言された。