1. 開催趣旨
インターネットがわたしたちの社会の不可分な存在になっている今日、インターネットに関して生じる問題は、リテラシーの向上や権利の保護といった個人レベルのものから、通信インフラや事業環境の整備、情報セキュリティの向上といった社会レベルのもの、国家間対立のような国家レベルのものまで多岐にわたっています。
このような問題についての国際的な対話の場として、2006年以降、国連の主導のもとにインターネットガバナンスフォーラム(IGF)が毎年開催されています。また、各国・地域版のIGFも数多く設けられています。
※IGFとは:https://japanigf.jp/about/igf
日本でも、このようなインターネットガバナンスに関する議論を活発にするべく、2021年5月より「IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チーム」が活動しています。本チームでは、このたび、2022年10月26日から28日の3日間、日本国内のインターネットガバナンスの議論に関する会合を開催する運びとなりました。インターネットガバナンスの諸課題に関して、分野および組織横断的に活発な議論につながれば幸いです。
2022年11月28日から12月2日には、第17回となるIGF 2022が、エチオピア・アディスアベバおよびオンラインで開催されます。また、第18回となるIGF 2023は、来年、日本で開催されます。会合では、IGF 2023の開催へ向けた特別セッションも予定されています。
皆様のご参加をお待ちしております。
2. 開催概要
■全体テーマ:今、改めて問われるインターネットの自由
■日時: Day 0 2022年10月26日(水)15:00-16:30 ※プレイベント(オンラインのみ)
Day 1 2022年10月27日(木)15:00-18:30
Day 2 2022年10月28日(金)15:00-18:30
■会場:エッサム神田ホール1号館・3階大会議室
(東京都千代田区神田鍛冶町3-2-2)
https://www.essam.co.jp/hall/access/#access_1
およびオンライン(Zoom Meetingにて提供)
■主催:IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チーム(日本政府、ビジネス、市民社会、技術コミュニティなどマルチステークホルダーの参加者からなるグループ)
https://japanigf.jp/about/igf-2023igf
■対象:国内外で話題となっているインターネットガバナンスに関連した各種取り組み・課題等に関心をもつ皆さま
■備考:参加は無料で、どなたでもご参加いただけます。今回は現地会場参加と遠隔参加のハイブリッドとなります。
■参加申込方法
2022年10月28日(金)イベント終了(18時30分)までに、以下Webページよりお申し込みください。
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会場参加:https://e-ve.event-form.jp/event/37981/NihonIntGovForum2022
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オンライン参加:https://us06web.zoom.us/meeting/register/tZAlf-uopzgiGNPOJbxhi6bGLpiCUBmzPe8K
登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールをお送りします。
■定員:
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会場:50名(定員となり次第締め切らせていただく場合、および感染症の蔓延状況によっては会場の定員を減らすこと、もしくは完全オンラインでの開催とすることもございますのでご了承ください。)
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オンライン:定員は設けません。申し込みいただいた方全員に参加いただけるよう準備します。
■お問い合わせ先:
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IGF 2023に向けた国内IGF活動活発化チーム sec@japanigf.jp
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イベントWebサイト https://japanigf.jp/meetings/2022-igf2023
3. プログラム
各セッションの概要・登壇者を含むプログラムの詳細は以下のURLからご確認ください。
https://japanigf.jp/meetings/2022-igf2023
【プレイベント】 10月26日
15:00-16:30 バーチャル美少女ねむさんとのトークイベント
「メタバース時代のインターネットガバナンス」
【第1日】10月27日(15:00-18:30)
15:00 開会(オープニングメッセージ:国連IGF事務局 Chengetai Masango氏、総務省国際戦略局長 田原 康生氏、慶應義塾大学教授 村井 純氏)
15:10 オープニングセッション「今、改めて問われるインターネットの自由」
16:20 テーマセッション(1)「電気通信事業法の改正とインターネット・ガバナンス」
17:30 テーマセッション(2)「オンライン海賊版の現状と、対策の現在地点」
18:30 閉会(第1日)
【第2日】10月28日(15:00-18:30)
15:00 開会(第2日)
15:10 テーマセッション(3)「スプリンターネット2.0」
16:20 テーマセッション(4)「日本のインターネット(通信網)は大丈夫か?」
17:30 特別セッション「IGF2023日本開催へ向けて」
18:30 閉会
※今後の調整によって内容に一部変更が生じる場合があります。
4. プログラム詳細
【プレイベント】 10月26日
15:00-16:30 バーチャル美少女ねむさんとのトークイベント
「メタバース時代のインターネットガバナンス」
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「メタバース」とは何か?
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自己紹介、技術デモ(VR機材など)
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メタバースの定義:「人生を送ることのできるインターネット」
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すでにあるメタバース:ソーシャルVR
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メタバース時代のインターネットガバナンス
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自在なアイデンティティで生きられる革命をいかに経済につなげるか
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メタバースでは名前・性別全て自由に生きられる
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企業と取引したり、経済参加したり、本格的な経済圏を目指す上では山積する課題も
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メタバースでのハラスメント問題から考えるメタバースでのルールの作り方
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ソーシャルVR・Meta「Horizon」の事例から学ぶ
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質疑:質問は事前にツイッターでハッシュタグ「#IGF2022」で受け付けます。(全ての質問にお答えできない場合があります。ご了承ください。)
○登壇者
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バーチャル美少女ねむ
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兼保圭介(日本電気株式会社)
※「バーチャル美少女ねむ」プロフィール
https://note.com/nemchan_nel/n/na1315244c440
【第1日】10月27日(15:00-18:30)
[15:00-15:10]
●開会あいさつ(以下登壇者名は全て敬称略)
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Chengetai Masango(国連IGF事務局)(録画)
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田原 康生(総務省国際戦略局長)(遠隔登壇)
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村井 純(慶應義塾大学教授)(遠隔登壇)
[15:10-16:10]
●オープニングセッション「今、改めて問われるインターネットの自由」
[16:20-17:30]
●テーマセッション①「電気通信事業法の改正とインターネット・ガバナンス」
第208回通常国会(2022年1月17日〜6月15日)にて可決成立した改正電気通信事業法。改正内容が多岐に渡ることもそうだが、成立までに相当の紆余曲折もあり、国会答弁では「忸怩たる」という形容詞をつけて語られるほどに、大変なものであった。総じて「ユーザ保護」が軸足となっている今回の改正であるが、何が問題となってどこに落ち着いたのか。今回の改正のポイントを専門家が解説・報告し、そして今後はどうしていくべきかについて、マルチステークホルダーで検討していきたい。
○登壇者
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井上 淳(総務省)
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上沼 紫乃(虎ノ門南法律事務所)
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沢田 登志子(一般社団法人ECネットワーク)
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立石 聡明(一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会)
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森 亮二 (英知法律事務所)
[17:30-18:30]
●テーマセッション②「オンライン海賊版の現状と、対策の現在地点」
大きな話題を集めた海賊版サイト「漫画村」の閉鎖とブロッキング論争の爪痕の中、IT・通信界、学術界、出版界は有志による実務者意見交換会を定期開催し、政府とも連携して、次々と生まれ巧妙化する後継海賊版サイトの封じ込めのために議論と協力を尽くして来た。その成果は、出版社対策チームによる3大サイトの閉鎖など、着実な成果をあげる一方、最盛期の上位10サイトへの月間アクセス(セッション)数は実に4億(約50億PV)に達し、3大サイト閉鎖以後も、ドメインホッピングなど追及を逃れる手法の進化を続けながら、後継サイトの続出を抑え込めていない。
そこで、意見交換会のメンバーを中心に、立場を超えて海賊版対策の現状と取るべき課題を、被害の現状、海外摘発の壁、ドメインホッピングという新たな課題とレジストラやCDNの寄与、拡散防止と検索エンジン・SNSなどの現在直面している諸問題に即して、共有し討論する。
○登壇者
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伊東 敦(株式会社集英社/一般社団法人ABJ)
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小川 久仁子(総務省)
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宍戸 常寿(東京大学)
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前村 昌紀(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
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丸田 憲和(ライツ法律特許事務所)
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山下 健一(さくらインターネット株式会社)
【第2日】10月28日(15:00-18:30)
[15:00-15:10]
●開会(第2日)
[15:10-16:10]
●テーマセッション③「スプリンターネット?」
ウクライナ政府からICANNとRIPE NCCに対してロシアのドメイン・IPアドレスの無効化の申し立ては、ネットワークのネットワークとしてのインターネットの根幹を揺るがしかねない事態であり、分割したインターネット(スプリンターネット)をもたらす可能性が危惧されている。では、インターネットの現状は真に一枚岩であるのか?、一枚岩であることに合理性はあるのか?本セッションはこの問題を俯瞰し、どのように向き合っていけば良いかを参加者の皆さんと議論します。
○登壇者
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小宮山 功一朗(一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター)
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実積 寿也(中央大学)
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前村 昌紀(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)
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水越 一郎(東日本電信電話株式会社)
[16:20-17:20]
●テーマセッション④「日本のインターネット(通信網)は大丈夫か?」
大規模災害や通信障害が発生すると大変なことになる通信網に関して全国網及びレジデンシャルネットワークの観点から報告し、ユーザの立場と事業者の立場から検証する。
無線系にしろ固定系にしろ日本のネットワークがどうなっているのか、をユーザもある程度は理解しなければいけない時代が来ているのではないだろうか?パンデミックの渦中、リモートワークやリモート授業が、一気に進んだものの様々な課題があることが判明した。我々は、「単に繋がらない」から「何故繋がらない」のか、また、どう言う時にどういう回線を使うべきなのか、ユーザも考える必要があるのではないか。エネルギー問題という観点も更に必要となってきている。
全国網の課題
通信料金は東京から遠ざかるほど高くなる。インターネット接続の利用料金は多くのISPが全国一律としているため、一般的にはあまり知られていないが東京から離れるほど高くなる。これまでのネットワークは、P2Pなど一部の通信を除いてユーザ間で直接通信をしたり、学校のオンライン・ホームルームの様に多くのユーザが同時に接続をすると言うことがなかった。ユーザの利用形態が変わってきている今、日本のネットワークも変わっていくのか?
レジデンシャルネットワークの課題
IPv4が枯渇しIPv6を利用し始めたが、すべての機器がIPv6へ移行するまではどうしても相互通信のためにトランスレータが必要になる。ただ、このトランスレータにはいくつかの欠点があり、更に、家庭内ルータでのNATというアドレス変換の仕組みが絡むと誰にも分からない遅延や通信できない現象が発生する。家庭までのラストワンマイルと家庭内ルータに関係する課題を報告する。
○登壇者
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生野 勇貴(BBIX株式会社)
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立石 聡明(一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会)
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松本 昇(株式会社シーエスファーム)
[17:30-18:30]
●特別セッション「IGF2023日本開催へ向けて」
インターネットガバナンスとは何か、インターネットガバナンスフォーラム(IGF)とはどういう場で、どういう議論がなされているのか、昨年のIGF 2021で議論されたインターネットの「2030年の悲観的なシナリオ」の論点を参考に、IGF関連の会合に初めて参加される皆さんにもご参加いただく形で議論します。
●閉会
※予告なく内容に一部変更が発生する場合があります。
以上