- モデレーター:前村 昌紀[インターネットの技術コミュニティ]一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
- パネリスト:
- 飯田 陽一[政府]総務省
- 小畑 至弘[ビジネス]IoT-EX株式会社
- 加藤 幹之[ビジネス]一般財団法人 国際経済連携推進センター(CFIEC)
- 上村 圭介[学術]大東文化大学
- 高松 百合[インターネットの技術コミュニティ]株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
- 立石 聡明[ビジネス]一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)
- ルーク コリー[ユース・学術]慶應義塾大学
1. テーマと背景
2024年は「インターネットガバナンス」の広がりと課題が顕著に現れた年であった。NETmundial+10と国連未来サミットが開催され、前者ではマルチステークホルダーによる合意形成と意思決定のためのガイドライン(サンパウロ・マルチステークホルダー・ガイドライン)を含むNETmundial+10マルチステークホルダー声明が公表され、後者ではグローバルデジタルコンパクト(GDC)を含む未来のための協定(Pact for the Future)が採択された。今後2025年にかけて世界情報社会サミット20周年振り返り(WSIS+20)でIGFの開催期限延長などが検討されることになっている。
デジタル政策と人工知能(AI)が、従来のインターネットガバナンスの枠組みを超えた重要な課題として台頭し、AIを使うにはネットへのアクセスがないと格差が広がるということで、アクセス格差(デジタルデバイド)やインフラ整備が未解決の問題として浮上した。
2. 主要な課題
デジタルデバイド
AI技術の普及により、既存の格差がさらに拡大するリスク。
マルチステークホルダーアプローチ
従来(狭義)のインターネットガバナンスでは効果的だったが、新しい課題には適合しない部分があり、国家の利害をより反映できるような枠組みの中にインターネットを取り込んでいこうという動きがあり、GDCはそれを体現しているのではないか。
コンテンツの規制とガバナンス
ネットワークインフラからコンテンツに焦点が移りつつあり、そうなるとオープンであるほど利用者にとってメリットが増加する訳ではなく、違う議論となるのではないか。AIを入れることにより、国家間の利害が見えなくなる、もしくはコントロールできなくなる方向に行くのではないか。一方で、ネットワークのインフラがないと動かないという点を伝えることは重要であり、コンテンツレイヤーとのバランスについてもIGF開催期限延長の議論に反映するとよいのではないか。
コーポレートガバナンスとの関係
コーポレートガバナンスの視点も取り入れるべきという指摘が参加者からあった一方で、インターネットガバナンスは様々なステークホルダーが入り乱れたガバナンスが求められ、外延がはっきりしない分野を扱っているところに複雑さがある旨、および環境問題とも共通するが、一国の政府と国際機関だけでは手を打てない問題が多数発生しているためこのような議論の枠組みが作られたため、コーポレートガバナンスとは一緒にすべきでない旨、意見が述べられた。