モデレータ:上村 圭介(大東文化大学・学術)
パネリスト:西岡 洋子(駒澤大学・学術)
      山中 敦之(神戸情報大学院大学・学術)
      前村 昌紀(JPNIC・技術)
      飯田 陽一(総務省・政府)

 

(セッション概要)

 インターネットがすべての人、国、社会、経済にとって重要なインフラとなり、直面する問題は年々複雑化・高度化している。課題や関係者が多様化する現在のデジタル社会において、マルチステークホルダー・モデルはどのような役割を持ち、どうあるべきか、またその課題や対応が問われているという背景について、モデレータの上村氏より最初に説明があった。

 各登壇者の自己紹介の後、まず9月に発表されたGDCについて、時間的な制約もあり、様々なステークホルダーとのコンサルテーションを十分に行い、合意が取れているのかどうか疑問があることが指摘され、マルチステークホルダー・プロセスの重要性を再認識する結果となったのではないかとのコメントがあった。また、分野やイシューによって、様々な制約や状況の違いがあり、ステークホルダーがだれなのかも異なるため、マルチステークホルダー・モデルの在り方も異なる。マルチステークホルダー・プロセスは民主主義には欠かせないものであり、様々な対立する意見や立場を取り入れて議論を行い、コンセンサスを得るか、得られないとしても、結果的に有意義なインパクトを生み出せるということがポイントであるとの意見が出された。

 続いてオープンフロアでの意見交換が行われ、トランプ政権がインターネット・ガバナンスに与える影響について、多国間協力において、米国政府が引くと権威主義国などの影響が強くなる可能性もあるかもしれないが、基本的にGAFAなどの米国企業が世界的覇権を持つデジタル市場においては、自国の経済に大きな影響が出ない限り、あまり大きな変化を起こすことはないのではないかとのコメントがあった。また、インターネット・ガバナンスの分野ではマルチステークホルダー・モデルはある程度効果があるが、どの他の分野でも同じようにうまくいくわけではない、各ステークホルダーがグループごとにもっと活発に活動すべき(特に日本において)、などの意見が出された。

以上